奥村公認会計士事務所(経営革新等支援機関)

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   税務のトッピクス

               令和5年02月01日

  税務のトッピクスを、今月より、「ごあいさつ」に移動しております。

                                                                                                                                                                     

               平成30年09月23日

  税務のトッピクスを、2~3カ月に、1回のペースで、15日頃に掲載するものであります。

 なお、筆者(奥村 勝美)のブログと同様、私見を書き表しているものであり、情報の正確性・完全性について保証するものではありません。よって、情報の正確性・完全性に起因して発生した損害について、筆者は、その責を負うものでは、ありませんので、ご注意下さい。                      (東京 御茶ノ水 山の上ホテル)

                                                                                                                                                                     

  9月の税務トッピクスは、平成30年7月6日に成立(平成30年7月13日公布)した相

続に関する民放等の規定(いわゆる相続法)の約40年ぶりの改正が、行われました

で、改正の影響を受ける「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」の特例

取り上げます。なお、改正相続法の施行は、公布日から、基本的には、1年以内で、自筆

証書遺言の要件の緩和は、6カ月以内配偶者居住権は、2年以内に施行予定なってい

ます。ちなみに、改正債権法は、平成32年4月1日施行予定です。

 1.相続法改正の理由及び概要

   高齢化の進展等の社会経済情勢の変化であり、高齢化社会の進展により老老相続

増加し、特に高齢となりがちな残された配偶者の生活に配慮する必要が高まったことが挙

げられる。

  改正法では、以下のように多岐にわたる見直しが盛り込まれた。

   ①配偶者短期居住権、配偶者居住権(長期居住権)の創設

   ②配偶者保護のための方策、預貯金の仮払い制度の創設等、一部分割、遺産分割前

    に処分された財産の扱い

   ③自筆証書遺言の方式緩和・保管制度の創設等

   ④遺留分減殺請求の効力等の見直し、遺留分の算定方法の見直し等

    ⑤権利の承継に関する見直し、義務の承継に関する見直し等

    ⑥相続人以外の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)の貢献

 2.今回の相続法改正が、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」に、与える影響について

   改正前の民法903条第1項では、被相続人からの生前贈与などにより特別な利益(特別受

益)を得た相続人がいる場合、相続人の間の公平のため、遺産分割においていったん遺産に持

ち戻して、それざれの相続人の取り分を計算するのが原則である(特別受益の持ち戻し)

 なお、特別の受益の持ち戻しの対象となるのは、遺贈、婚姻・養子縁組のための贈与、生計

の資本としての贈与です。また、被相続人が、生前、贈与や遺贈を受けた受益者の特別受益分

を、持ち戻しをしなくてよいという意思表示(書面・口頭・明示・黙示でも)をしていた場合

に持ち戻しが、免除されます。

 今回の改正法では、婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産(配偶者居住権を

含む)が遺贈・贈与された場合に限り、遺産分割においてこの持戻し免除の意思表示を「推

定」し、原則として遺産に持ち戻す必要はないものとされた。

 

 3.所長の一言

  生前贈与した場合は、通常、被相続人が、生前、贈与や遺贈を受けた受益者の特別受益

分を、持ち戻しをしなくてよいという意思表示(口頭・黙示)があったものと見なして、遺産

分割をしていますが、相続法的には、問題がありますので、今回の改正で特別受益の免除が認

められた「夫婦の間で居住用の不動産を贈与」を除く、贈与には、特別受益の免除の文書化

必要ですね。

  また、「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」を利用する場合は、デメ

リット、メリットがあり、今回の「配偶者居住権」の創設もあり、必ず、事前協議が必要で

すので、ご相談ください。

 なお、平成32年7月12日までに施行される「配偶者居住権」の相続税法等の取り扱いは、早

ければ、19年度、遅くとも20年度の税制改正で決まることになり、相続対策も変わることも

予想され、改正内容に注目ですね。

 

 

(参考)「夫婦の間で居住用の不動産を贈与した時の配偶者控除」の特例

   (1) 概要

     婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得す

    るための金銭の贈与が行われた場合。基礎控除110万円のほかに最高2000万円

    まで控除(配偶者控除)できるという特例である。

   (2) 適用要件

      ①夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと。

      ②配偶者から贈与された財産が、居住用不動産であることまたは居住用不動

       産を取得するための金銭であること。

③贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与により取得した国内の居住用不

       動産または贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に贈与を受けた者が

       現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること。

  (3)留意事項

     ① 居住用不動産とは、専ら居住の用に供する土地若しくは土地の上に存する

     権利又は家屋で、国内にあるもの。

     ② 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受け

 ることができません。

             以上

 

  6月28日から7月8日頃にかけて、何十年に、一度と言われる集中豪雨により、西日本を中心に200人を超える死傷者がでて、自然の恐ろしさを、改めて思い知らされ、地球の気候の変化を実感し、環境に対して、もっと世界が、自然に対して敬意をはらい、保護していく必要性を強く実感しています。しかも、「7月豪雨」の翌日から、一転して、猛暑が続いておりますので、皆さまも体調には、くれぐれも留意して、夏場を乗り超えて、頂きたいと思っております。

   さて、7月の税務トッピクスは、平成29年税制改正大綱によって、土地等の相続制

評価における最も注目すべき改正が行われ、平成30年1月1日より、財産評価基本通達

24-4「広大地の評価」が、廃止れ、財産評価基本通達20-2「地積規模の大きな宅地

の評価」が、新設されましたので、「地積規模の大きな宅地の評価」を取り上げます。

 1.通達改正の趣旨

   「広大地の評価」では、広大地補正率が、個別の土地の形状等は関係なく面積に応

じて比例的に減額するものでしたので、社会経済情勢の変化に伴い、広大地の形状によ

っては、それを加味して決まる取引価額と相続税評価額が乖離する場合が生じており、広

大地の評価の適用要件も「定性的(相対的)」なものであったことから、広大地に該当す

るか否かの判断に苦慮するなどの問題が生じていた。そこで、平成29年度税制改正大綱

で、「地積規模の大きな宅地の評価」の新設し、その適用要件については、地区区分や

都市計画法の区域区分等を基にすることにより、「定量的(絶対的)」なものとして、明

確化を図ったものである。

 

 2.概要

  地積規模の大きな宅地の評価は、戸建住宅地用地として、分割分譲する場合に発生する減価、すなわち、

   ①潰れ地の負担による減価

   ②工事・整備費用等の負担による減価

   ③開発分譲事業者の事業収益・事業リスク等の負担による減価

  を反映させるものである。

 「地積規模の大きな宅地の評価額」(路線価の場合)は

正面路線価*奥行価格補正率*地積*不整形地等の各種画地補正率*規模格差補正率

   によって、算出される。

 3.適用要件

   (1) 対象面積…三大都市圏500㎡以上、それ以外は1000㎡以上

   (2) 対象地域

         ①普通商業・併用住宅地区又は、普通住宅地区

         ②大規模工場用地以外。

市街化調整区域以外。

         ④都市計画法の用途地域が工業用専用地域以外。

    (3)指定容積率…東京特別区400%未満、それ以外は300%未満

4.留意事項

     ① 評価対象地域が、路線価地域ではなく、倍率地域でも、上記3の適用要件に

      該当すれば、適用でき、「地積規模の大きな宅地の評価」で計算した価額が

      下回れば、「地積規模の大きな宅地の評価」で評価します。

       なお、「路線価」とみなす価額は、評価対象となる近傍宅地の固定資産税

      評価に係る標準宅地の一㎡当たりの価額(市町村の固定資産税課)となりま

      す。

     ② 土地の評価は原則として、9つの地目(宅地、田、畑、山林、原野、牧

      場、池沼、鉱泉地、雑種地)区分毎に行われますが、現実に一体と利用され

      ている一団の土地に2以上の地目がある場合は、特例として、主たる地目から

      なるものとして、その一団の土地毎、評価します。

     ③ 規模格差補正率は、従来の「広大地補正率」より評価減割合が、少なくなる

      のは明瞭ですが、規模格差補正率では、奥行価格補正率、不整形地補正率

      等、各種の画地補正率を併用して適用できるので、ご留意して下さい。

     ④ 相続税の申告に当たっては、「土地及び土地の上に存する権利の評価明

      細書」第1表の「6地積規模の大きな宅地」の欄が、平成30年度分以降用に

      は、追加されていますので、留意して下さい。 

  5.所長の一言

     改正前の「広大地評価」は、専門家でも判断が難しい側面がありましたが、今回の「地積規模の大きな宅地の評価」は、適用要件の該当の有無だけでの問題であり、使い勝手は、ありますので、相続の際には、ご相談下さい。

                                      以上

 

 

    6月は、研修旅行があり、思った以上に、事務所の仕事が、タイトとなり、さらに、

   社外役員の仕事も重なり、またしても、事前の準備不足が露呈してしまい、5月に引き続

   き、掲載が、遅れましたことを、再度、お詫びいたします。

    さて、6月の税務トッピクスは、平成30年6月6日に「生産性向上特別措置法」

   が施行されましたので、中小企業者等が関連すると思われる政策の一つである、

   国から、所在している市町村が、「先端設備導入促進基本計画」同意を受けて

   いれば、資本金額1億円以下の法人等は、国から同意を受けた市町村の要件に該

   当する先端設備を導入すれば、固定資産税の特例により、3年間、固定資産税が

   ゼロあるいは、2分の1に軽減される制度について、り上げす。

 1.背景

   政府は、世界に先駆けて「生産性革命」を実現させるべく、「新しい経済政策パッ

  ケージ」をとりまとめ、2020年までを「生産性革命・集中投資期間」として、「生

  産性向上特別措置法」により、我が国産業の生産性を短期間に向上させるために、

  要な支援措置を講ずるもの。

 2.「生産性向上特別措置法」の概要

(1)プロジェクト型「規制のサンドボックス」制度の創設

 参加者や期間を限定すること等により、既存の規制にとらわれることなく新しい技術等の実証を行うことが出来る環境を整備することで、迅速な実証及び規制改革につながるデータの収集を可能にする。

 (2)データの共有・連携のためのIoT投資の減税等

  データの共有・連携を行う取組を認定する制度を創設し、こうした取組に用いる設備等への投資に対する減税措置等の支援を行う。

(3) 中小企業の生産性向上のための設備投資の促進

 中小企業者が、市町村の認定を受けた計画に基づいて先端設備等を導入する際の支援措置を講ずることで、地域の自主性のもとで、生産向上のための設備投資を加速する

 

  今回は、「生産性向上特別措置法」の概要に記載した、(3)の中小企業の生産向上のための設備投資の促進について、取り上げます。また、九州では北九州市が、早くも6月8日に、「導入促進基本計画」を国からの同意(申請受付開始 6月13日)を受けていますので、以下の内容は、北九州市の「先端設備等導入計画」を基に、記載させて頂きますので、今後、所在地の市町村が、「導入促進基本計画」を国に提出し、同意が得られると思いますので、所在地の「導入促進基本計画」の要件を確認していただきたいと思います。

 

3.(北九州市)先端設備等導入計画について

  (1)計画の概要    

     中小企業等は、

    ①計画期間内(3~5年)に、

    ②労働生産性を年平均3%以上向上させるため、

    ③先端設備(生産、販売活動等の用に直接供される新規の減価償却資産)を

     導入する計画を策定し、

    ④北九州市が認定。

  (2)計画の認定を受けられる者

中小企業等経営強化法上の中小企業等が対象。但し、固定資産税のゼロ特例

     を利用できるのは、資本金額1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人

     事業主等(大企業の子会社を除く)。・・・平成29年4月の税務トッピクス参照。

   (3)計画の認定を受けた場合の効果

①認定を受けた先端設備等の固定資産税が3年間ゼロへ。

     ②国の各種補助金(ものづくり・サービス補助金等)における優先採択

4.固定資産税の特例措置要件

    ① 対象者…資本金額1億円以下の法人、従業員数1,000人以下の個人事業主等

         のうち、先端設備等導入計画の認定を受けた者。

    ② 対象設備…生産向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上する

          下記の設備。

      a.機械装置・・・取得価額が160万円以上

      b.測定工具・検査工具・・・取得価額が30万円以上

      c.器具備品・・・取得価額が30万円以上

      d.建物附属設備・・・取得価格60万円以上

5.留意事項

     ① 中小企業等の所在地の市町村に提出ですので、市町村によっては、先端設

      備等の計画の受け入れがない市町村、あるいは、時期が未定の市町村、

      また、固定資産税の減免割合等が、違う場合もありますので、問い合わせが

      必要です。

     ② 先端設備等導入計画認定後に、先端設備等の取得であること。

     ③ 固定資産税の賦課期日は1月1日ですので、各企業等の事業年度とは、異な

      りますので、先端設備等の計画の申請、取得日には、注意です。

     ④ 生産向上性(年平均1%以上)を満たしている要件は、工業会等の証明書

      必要です。

  5.所長の一言

     今回の先端設備等導入計画(固定資産税ゼロ特例)は、所在地の市町村次第と

    いう事ですが、設備投資を行う場合は、中小企業等経営強化税制もありますの

    で、事前に、必ず、ご相談下さい。

                                      以上

 

 

    5月は、判っていたことですが、3月期の決算の申告に加え、社外監査役・監事の

   仕事に時間を取られ、事前の準備不足が露呈してしまい、掲載が、遅れましたことを、

   まず、お詫びいたします。

    さて、5月の税務トッピクスは、人手不足あるいは、経営効率化による、

   外注先への発注の機会が多くなっている現状を踏まえ、税務上で問題となる

「外注費と給与の違いを取り上げます。

  1. 外注費

   (1)外注費とは

      会社の業務の一部を委託する業務委託契約書やこれに準ずる契約に

     基づき、外注先の法人や個人事業主が実現した業務への対価。

   (2)契約形態

       日本の民法において、業務委託契約という名称の契約はなく、民法上は

      「請負契約」と「委任・準委任契約」を総称する実務上の言葉と、なって

      います。

       ① 請負契約(典型契約)

         一方当事者がある仕事を完成させることを約して、相手方がその仕事

        の結果に対して、その報酬を支払うことを約束する契約。

         すなわち、仕事の完成に対して対価を支払う契約。

         ② 委任・準委任契約(典型契約)

          一方当事者が法律行為をすることを相手方に委託して、相手方がこれを

         承諾することを約束する契約。

          言い換えれば、プロに事務を委託して任せるもので、結果については

         確約できないものをさす。

 

     (3)税務上の処理

        ① 法人税・所得税 

           ・・・(外注先)法人の場合、売上高計上処理。 

           ・・・(外注先)個人の場合、事業所得となり、所得税の確定申告

              が必要。

        ② 消費税 ・・・課税取引 

2.給与

   (1)給与とは

      雇用契約若しくはこれに準ずる契約に基づいて受ける役務の対価。

      雇用主が労働者(パート・アルバイト含む)に支払う労働への報酬であり、

      残業手当などの諸当も含めた会社からの全ての報酬をいう。

      また、一定条件の下、社会保険への加入が義務付けられている。

   (2)契約形態

 雇用契約(典型契約)は、給料を支払って労働者を雇う契約で、雇用主

      が、指揮命令する立場に立ちます。  

       ちなみに、労働者派遣契約(非典型契約)の場合は、雇用契約は、派遣会

      社指揮命令権は、派遣先会社が、もつ形となります。

 

     (3)税務上の処理

        ① 所得税 ・・・労働者は、給与所得になり、源泉徴収される。

判例・学説では、給与所得を「従属的(使用者の指揮監督に服して

        時間的、空間的な拘束を受けて働く)、非独立的(自己の危険と計算

        によって行うものではない)な労務提供の対価」 としている。

        ② 消費税 ・・・不課税取引

 

 3税務上の外注費と給与の(実態)判断基準

   税務上は、契約形態のみならず、「外注費か給与か」は、実態判断をしますの

  で、以下の判断基準を参考にして、頂きたいと思います。

  (1)消費税基本通達による外注費の「業務実態」判断基準の4項目

    ①その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか

     ・・・代替が認められれば、外注費。

    ②役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか。

     ・・・事業者の指揮監督を受けない場合が、外注費。

    ③まだ引き渡しを了しない完成品が不可抗力のため、滅失した場合等においても、当

     該個人として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか。

     ・・・請求できなければ、外注費。

    ④役務の提供に係る材料又は用具・工具等を供与されているかどうか。

     ・・・提供されていないければ、外注費。

   (2)その他

    ①外注先から、請求書が発行がされているか。

    ②福利厚生(忘年会)の費用は、外注先の負担か、交際費処理しているか。

    ③残業代、通勤費の負担は、ないか。

 

 4.所長の一言

税務調査の際の、個人事業主への外注費支払いを、「給与」と認定された場合

は、所得税の源泉徴収漏れ 消費税の課税仕入れに否認による、過少申告

と大きな問題になりますので、必ず、事前に、顧問の公認会計士等に、協議が

   必要です。

 

 

                                        以上

 

  04 月の税務トッピクスは、

3月も終わり、いよいよ,3月期の決算を迎えますので、

    税務申告の際のポイントとして、4月は、

「平成30年3月期 法人税の主な改正点を取り上げます。

     以下、改正年度分ごとに、主な改正点を説明いたします

  1. 平成29年4月1日以後開始事業年度から適用される主な項目

(1)研究開発税制の見直し

      ① 改正の概要

       平成29年度税制改正により、従来の「総額型」に試験研究費の額の

増加インセンティブを高める税額控除割合の算出方法が導入され、

       従来の「増加型」は廃止となった。

       また、研究開発税制の対象に、製造業による「モノ作り」の研究開発に

       加え、ビッグデータ等を活用した「第4次産業革命型(AI)」のサービス

       開発(ヘルスケアサービス、自然災害予測サービス、農業支援サービス等)

新たに追加。

      ② 制度の概要

a.試験研究費の総額に係る税額控除制度

         試験研究費の総額*6~14%へ(改正前8~10%)

なお、10%超の控除率は、2年間の時限措置

 b.中小企業者等向けの中小企業技術基盤強化税制

試験研究費の総額*12~17%へ(改正前12%)

なお、12%超の控除率は、2年間の時限措置

 c.特別試験研究に係る税額控除制度

         特別試験研究費(大学等が支出する共同研究又は委託研究に要した

         費用)の対象となる費用を限定(原材料費、人件費、旅費、経費及び

         外注費)を廃止し、その研究に要した費用に、見直し。

d.平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る

         税額控除制度(高水準型)

         (試験研究費の額-平均売上高*10%)*(試験研究費割合-

          10%)*0.2

       ③ 留意点

         民間の研究開発投資を対GDP比3%以上とするため、設けられた

         優遇税制であり、平成29年度税制改正で、試験研究費の範囲に、

         「対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究のために要す

         る一定の費用を加える」が追加されましたので、目途として、年間就

         業日数の20日以上、試験研究に携わっていれば、研究開発税制の適

         用の検討も必要です。

 

(2)所得拡大促進税制の見直し

        ① 改正の概要

企業収益の拡大を雇用の増加や賃金上昇につなげることにより、

          経済の好循環を強化するとの観点から、平成29年度税制改正に

          おいて、拡充が行われた。

          ② 制度の概要

          a. 中小企業者等以外については、前年度比2%以上の賃上げを要件と

            したうえで、税額控除が2%上乗せされる。従って、控除割合は、

            最高12%に拡大されました。

          b. 中小企業者等については、要件に変更はないが、前年度比2%以上の

            賃上げを行う場合、税額控除が12%上乗せされる。従って、控除割

            合は、最高22%に拡大されました。

           ③ 留意点

           基準年度は平成24年度ですので、平成30年3月期の申告の際には、

          必ず、所得拡大促進税制の適用の有無の検討が必要です。

 

(3)営業権の償却限度額の見直し

          平成29年4月1日以降の取得分より、一括償却ではなく、月割計算を行う

         こととなった。

 2.平成29年4月1日以後終了事業年度から適用される主な項目

中小企業向け設備投資促進税制の見直し

        ① 改正の概要

          中小企業投資促進税制、商業・サービス・農林水産業活性化税制に

         加え、平成29年度税制改正により、中小企業経営強化税制の拡充が

         図らた。

         ② 制度の概要

         a.中小企業投資促進税制{中小企業者等が機械等を取得した場合の

           特別償却(取得価額*30%)又は法人税額の特別控除(取得価

           額*7%)}…平成31年3月31日まで。

 ・機械装置…1台、160万円以上

            ・測定工具及び検査工具…1台、120万円以上

            ・ソフトウェア…70万円以上

b.商業・サービス・農林水産業活性化税制{特定中小企業者等が

           経営改善設備を取得した場合の特別償却(取得価額*30%)

           又は法人税額の特別控除(取得価額*7%)}…平成31年3月

           31日まで。

 ・器具備品…1台、30万円以上

            ・建物附属設備…60万円以上

但し、経営改善指導助言書類が必要。

 c.中小企業経営強化税制{中小企業者等が特定経営力向上設備

            を取得した場合の即時償却又は法人税額の特別控除(取得価

            *10%or7%)}…平成29年4月1日~平成31年3月31日

(適用要件)

             ・工業会の証明書・認定支援機関確認書

             ・主務大臣による経営力向上計画の認定

 ・A類型(生産性向上設備)…工業会の証明書

 機械装置(160万円以上)、測定工具、器具備品(30万円以上)、

               建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)

・B類型(収益強化設備)…認定支援機関確認書

機械装置(160万円以上)、工具、器具備品(30万円以上)、

               建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)

           なお、詳細は平成29年10月の税務トッピクス参照のこと。

 

           ③ 留意点

中小企業経営強化税制については、主務大臣の認可書があれば、固定

          資産税の減免があるので、留意です。

 3.所長の一言

    平成30年3月期の税務申告の際には、上記の適用の有無を顧問公認会計士等に、

    ご確認下さい。

  (参考)

     日本の上場企業の約7割が、3月期決算であり、筆者も、日本の企業の決算月

    は、3月が多いと思い込んでいましたが、念のため、国税庁統計情報決算期別

    の申告法人数のデータ(平成26年度申告法人)を確認すると、3月期決算は、

19.49%で、9月期決算(10.92%)、12月期決算(10.03%)となってお

    り、3月期決算の割合が、上場企業の7割に比較し、全体では、2割とは、正直、

    驚いています。

 

 

                                        以上

 

  

 03月の税務トッピクスは、

    当事務所での平成29年度の所得税の確定申告で、意外に件数があった

「収用等による土地・建物を売った時の特例です。

    土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地・

   建物を売った場合には、「譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を

   差し引く特例(租税特別措置法 第33条の4)」対価補償金等で他の

   土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例(租税特別措置法第

   33条)」の2つの特例がありますが、今回は、譲渡所得から最高5,000万円までの

   特別控除を差し引くことができる課税の特例について、取り上げます。

 

  1. 譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例

(租税特別措置法 第33条の4)

   (1)概要 

       対価補償金について、特別控除として5,000万円まで、譲渡所得から、

      控除できる特例です。

 

    (2)特例適用要件

        ① 売った土地建物は固定資産であること。

          ② 公共事業のために売った資産の全部について収用等に伴い取得した

          場合の課税の特例を受けいていないこと。

           ③ 買取り等の申出があった日から、6カ月を経過した日までに土地建物を

          売っていること。

         ④ 公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者が譲渡して

           いること。

     (3)留意事項

  ① 公共事業の施行者等について

           収用の課税の特例を受けるには、事業者が、土地収用法第三条(収用

          適格事業:1号~35号)に掲げる施設を設置することができる事とされ

          てれている者でなければ、ならない。

            従って、国、地方公共団体だけではなく、電気・ガス・水道・鉄

           道等の事業者、学校法人、社会法人等も公共事業の施行者等に該当

           ますので、留意です。

 

        ② 事前協議制度について

           租税特別措置法において、収用等に伴い交付される各種の補償金に対

          して各種の課税の特例制度を設けていますが、公共事業の施行者等が発

          行する一定の証明書を基礎として、適用される制度ですので、公共事業

          の施行者等は、買取り等に係る事業が課税の特例に該当するかどうか等

          を事前に税務署等協議をした上で、買取りを着手すれば、特例の課税の

          適否の問題発生を未然に防止することができるのが、事前協議制度の趣

          旨です。事前協議制度を利用するのが、当然ですが、あくまでも、事前

          協議制度ということに留意です。

③ 補償金について

           補償金には、対価補償金(収用された資産の対価となる補償金)、

収益補償金(資産を収用等されることによって生ずる事業の減収や損失

          補てんに充てられる補償金)、経費補償金(事業上の費用の補填に充て

          られる補償金)、移転補償金(資産の移転に要する費用の補填に充てら

          れる補償金)、その他の補償金(原状回復費、協力料などの補償金)が

          ありますが、原則として、課税の特例の適用がある補償金は、対価補償

          金だけです。

          ただし、建物等を移築するため等に移転補償金として、受けた場合で、

          その建物等を取壊し場合等は、対価補償金として、取り扱うことが、出

          来ますので、留意です。

 なお、消費税法上では、対価補償金は、消費税の課税対象(土地

         は、非課税)になりますが、対価補償金以外は、該当しませんので、

         留意です。

 

 ④ 引き渡し日と買取り申出から6カ月の以内との関係について

           5,000万円控除の特例の規定である租税特別措置法第33条の4の第1項

           において、原則として、最初に買取り等の申出があった日から6カ月を

           経過した日までに譲渡した場合には、特例が受けられるとありますが

資産の引き渡し日がその翌年になり、買取り申出日から、6カ月過ぎて

           も資産譲渡契約が、買取り申出日から、6カ月以内で締結されていれ

           ば、租税特別措置法第33条の4の第1項を満たしているものして、取り

           扱われますので、留意です。

 

 ⑤ 確定申告書の添付書類について

 譲渡所得内訳書に、以下の公共事業の施行者等から発行された

           以下の証明書の添付が必要です。

           ・買取り等の申し出証明書

           ・買取り等の証明書

           ・収用証明書

 

      (参考) 対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかった

            ものとする特例(租税特別措置法第33条)

           収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例で、売った金

          額より買い換た金額の方が多いときは、所得税の課税が将来に繰

          り延べられ、売った年について、譲渡所得がなかったものとして、

          扱われます。

        (適用要件)

          ① 売った土地建物は固定資産であること。

            ② 原則として、売った資産と同じ種類の資産を買い替えること。

            ③ 原則として、土地建物の収用等があった日から、2年以内に代わ

            りの資産を取得すること。

 2.所長の一言

    収用等の場合の課税の特例の適用の有無は、納税金額に重大な影響がありますの

   で、早めに、専門家である顧問公認会計士・税理士へご相談されることをおめい

   たします。

 

 

                                        以上

 

  

 02月の税務トッピクスは、

    3月15日が申告期限である平成29年度分の所得税の確定申告の

「所得税の主な改正事項です。

 1.概要

  平成29年度所得税の確定申告上、税制上の主な変更点としてと、国税庁のホームページで、下記7項目が記載されていましたので、以下、説明いたします。

 

  2.改正内容

(1)セルフメディケーション税制による医療費控除の特

    平成29年1月1日より、健康の保持増進及び疾病の予防として、一定の取組を行

   う居住者等が、特定一般用医薬品等購入費(スイッチOTC医薬品)を支払った

   場合の医療費控除が、選択により、可能になりました。

・・・医療費控除の対象が拡大されました。

 (2)医療費控除の添付書類の改正

    医療費控除の適用を受ける者は、「医療費控除の明細書」又は「医療保険者等が

   発行する医療費通知書」を添付する必要があります。また、セルフメディケーショ

   ン税制の特例を受ける場合は、「セルフメディケーション税制の明細書」の添付が

   必要です。

 ・・・税務署への医療費の領収書の提出は、必要がありませんが、5年間保管

        する必要があります。

(3)年収1000万円超の給与所得者の給与所得控除の変更

     給与所得控除の上限額が220万円に引き下げられました。

     ・・・高額給与所得者には、増税要因です。

(4)住宅ローン控除についての特例措置

     家屋が震災、風水害、火災などの災害により、居住できなくなった場合には

    災害により、居住できなくなった年以後についても本税額控除の適用ができる措

    置が講じられた。

     ・・・従前は、災害で居住できなくなった年度しか、税額控除を認めていなか

        ったが、拡大された。

 (5)特定増改築等に該当する住宅ローン控除についての改正

    適用対象工事に、特定断熱改修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等

   加えるとともに、税率控除率2%の対象となる住宅借入金等の範囲に、特定断熱改

   修工事等と併せて行う特定耐久性向上改修工事等に要した費用に相当する住宅借入

   金等が加えられました。

     ・・・対象工事が、追加されました。

(6)住宅特定改修特別税額控除についての改正

     適用対象工事に、住宅耐震改修又は一般断熱改修工事等と併せて行う耐久性

   向上改修工事等を加えるとともに、その控除額を住宅耐震改修又は一般断熱改修工

   事等に係る標準的な工事費用相当額及び耐久性向上改修工事等に係る標準的な工事

   費用相当額の合計額(限度:250万円、太陽光発電と併せて350万円)の10%

        相当する金額とされた。

     ・・・対象工事が追加されました。

(7)非居住者に対する課税ルールの変更

     従来の「国内のにおいて行う事業から生ずる所得」に代えて、「恒久的施設

    帰せられる所得」を国内源泉所得の一つとするなどの改正が行われた。

     ・・・総合主義に基づく従来の国内法をOECDモデル租税条約に沿った帰属主義

       見なおした。

 3.所長の一言

    所得税の確定申告は、3月15日までの申告・納付ですが、何事も早めの準備が、

   安全・安心ですので、2月中に、顧問公認会計士・税理士へご相談されることをお

   勧めいたします。特に個人事業者については、所得拡大促進税制もありますので。

 

 

                                        以上

 

  

 01月の税務トッピクスは、

   (中小企業にとって)平成30年度税制改正の目玉とも言われている

「事業承継税制の特例の創設です。

 1.概要

特例後継者(仮称)が、特例認定承継会社(仮称)の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈により、当該特例認定承継会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、その特例後継者の死亡の日等までその納税を猶予するものである。

  2.背景

   中小企業経営者の高齢化が進んでおり、今後5年間で30万人以上の経営者が70歳に達するにも関わらず、半数以上が事業承継の準備を追えていない。現状を放置すると中小企業の廃業の増加により地域経済に深刻な打撃を与える恐れがあり、このような現状を踏まえ、現行の事業承継税制の特例(平成28年9月度の税務トッピクスで紹介)の要件を見直すことを含め、10年間の特例措置として、事業承継税制を抜本的に拡充する特例制度が創設された。

 3.改正内容

  (1)「会社の議決権の3分の2まで」という制限を撤廃

      納税猶予対象株式が、取得した全ての株式になる。

  (2)納税猶予の割合が80%から100%へ

      納税猶予対象株式に係る相続税の全額が猶予になる。

  (3)先代経営者以外の株主からの贈与も対象

代表者以外の者から、特例後継者への承継も適用対象となる。

  (4)後継者は1人であったが、3人まで可能

      代表権を有する複数人への承継も可能になった。

  (5)雇用確保要件の弾力化

      相続時等の雇用を8割を下回ったとしても理由を記載した書類を都道府県に

     提出すれば、納税猶予は、継続される。

  (6)将来、譲渡・解散等した場合の納付金額について、状況に応じて減免

      一定の要件(直近3年間のうち、2年以上赤字、借金が売上の半年以上な

      ど)を満たせば、納付金額を再計算し、納付金額が当初の納付予定額を

      下回る場合は、免除になる。

   (7)相続時精算課税制度の適用対象者の拡大

      贈与者(60歳以上)の推定相続人以外の者(20歳以上)である特例後継者

     も適用になる。

 4.定義

  (1)特例後継者(仮称)とは、特例認定承継会社の特例承継計画に記載された当該

    特例認定承継会社の代表権を有する後継者であって、当該同族関係者のうち、当

    該特例認定承継会社の総議決権を最も多く有する者をいう。

  (2)特例認定承継会社(仮称)とは、平成30年4月1日から平成35年3月31日まで

の間に特例承継計画(仮称)を都道府県に提出した会社であって、中小企業にお

    ける経営の承継の円滑化に関する法律第12条第1項の認定を受けたものをいう。

  (3)特例承継計画(仮称)とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた

    特例認定承継会社が作成した計画であって、当該特例認定承継会社の後継者、承

    継時まで経営見通し等が記載されたものをいう。   

 

 5.適用時期

平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に贈与又は相続若しくは遺贈に

   より取得する財産に係る贈与税又は相続税について適用。

 6.留意事項

   ・10年間に限定した特例制度の創設。

   ・特例制度の適用には、平成35年3月31日までに特例承継計画を都道府県へ提出する

    必要。

   ・雇用確保要件が緩和されており、適用に当たっては、将来の業績を気にする必要が、

   なくなった。

   ・推定相続人以外の特例後継者への贈与についても、相続時精算課税制度が適用できる

   ようになった。

 7.所長の一言

    中小企業の事業承継税制にとって、画期的な税制改正ですので、この5年間

   で後継者交代を考えることも必要と思いますので、特例承継計画の都道府県への

   提出が要件ですので、早めのご相談をお願いいたします。

 

 

                                        以上

 

  

 12月の税務トッピクスは、

「使途秘匿金と使途不明金です。

     社会的に、(法人には)あってはならない支出金ですので、内容を紹介

    いたします。  

 

 1.概要

     本来、交際費処理されるものですが、法人の特殊事情により、費途が明らかに

    できない支出、相手先が明らかにできない場合の支出などが、「使途秘匿金」、

    「使途不明金」となります。法人税法上、「公正な取引の阻害の防止」と

    「正常な価格形成」という社会的なモラルの面から、政策的に追加的な税負担

    求める税制上の措置が設けられています。

  2.使途秘匿金及び使途不明金の定義及び税制上の措置

 (1) 使途秘匿金(措法62②)

     ・使途秘匿金の支出とは、法人が支出した金銭のうち、その相手方の氏名、

      住所、及びその事由を帳簿書類に記載していないものである。

     ・具体例…利権獲得のための工作資金、謝金や闇献金、取引先の役員等への

      裏リベートなど

     ・使途秘匿金の支出金額は、損金の額に算入されず、かつ、使途秘匿金の税額

      は、支出額の40%を加算した金額となります。

     ・平成6年から時限措置として適用されてきましたが、平成26年税制改正大綱

      により、適用期限の撤廃がなされ、使途秘匿金の制度は、永続適用になりま

      した。

 

 (2)使途不明金(費途不明金)

         ・使途不明金とは、法人が支出した金銭のうち、費途が明らかでない支出

                  です

        ・使途不明金の支出金額は、損金の額に算入されず、法人税申告書別表4に

      おいて、加算調整の対象となります。

 3使途秘匿金と使途不明金の違い

        ・使途不明金は、その費途が明らかでないものであり、使途秘匿金は取引先

       の情報を、相当の理由なく、帳簿書類に記載していないものです。

         (注)相当の理由とは、手帳、カレンダーなど、不特定多数の者に対する広告宣伝用物品の

                                   贈与、チップ等の少額な謝金、常識的な範囲における現金過不足などが例示されています。

        ・ 使途秘匿金には、追加的に、支出額の40%の税額の負担金があります。

 

  4.所長の一言

     日頃から、疑問に感じる支出については、議論すれば、自ずから、解決策は

    出てきますので、経営者、経理担当者には、事前に、必ず、何でも相談して

    頂きたいものです。

     私の基本的スタンスは、税務調査で、私の知らない、「使途秘匿金」「使途不

    明金」が、判明すれば、クライアントとの契約は、解除です。

 

 

                                        以上

 

 

 11月の税務トッピクスは、

「固定資産税・都市計画税です。  

 

 1.概要

     固定資産税・都市計画税は毎年1月1日時点の土地や家屋などの所有者(納税義

   務者)に対し、課税庁である、市町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を

   通知し納税者をそれに基づき税額を納付する、いわゆる「賦課課税制度」です。

  2.対象物件

 (1) 固定資産

     土地・家屋・償却資産(法人や個人の事業用の構築物、機械、器具、備品

    など)が課税対象です。

  (2)都市計画税

      都市計画区域内にある土地・家屋・償却資産(法人や個人の事業用の構築

     物、機械、器具、備品など)が課税対象です。

 3.税額の計算方法

 (1) 固定資産税

    固定資産税評価額(課税標準額)*1.4%(標準税率)

(注1)住宅用地については、200㎡以下の小規模宅地用地は固定資産税評価額の6分の1の金額が課税標準額

     となり、200㎡超の一般住宅用地は固定資産税評価額の3分の1の金額が課税標準額となります。

     (注2)新築住宅については、課税床面精120㎡までの部分が3年間あるいは、5年間(認定長期優良住宅、

      3階建以上の耐火構造等)にわたって、固定資産税が2分の1(平成30年3月31日までの特例)に軽減され

      ます。

  (2)都市計画税

    固定資産税評価額(課税標準額)*(最高)0.3%(制限税率)

(注)住宅用地については、200㎡以下の小規模宅地用地は固定資産税評価額3分の1の金額が

課税標準額となり、200㎡超の一般住宅用地は固定資産税評価額の3分の2の金額が課税標準額と

      なります。

  4.固定資産税評価額とは

     固定資産税評価額は、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づて行われ、

   市町村がその価格を決定し、さらに、この価格を基に、「課税標準額」が 

   決定されます。

     ところが、家屋の評価方法が、再建築価格方式により、見積書や建築工事費を

   もとに評価する方法のため、市町村の評価担当者による評価の差が起こることは、

   避けられないと言われ、最近では、上場REIT15社の固定資産税・都市計画税の還

   付請求も行われています。

  5.所長の一言

     固定資産税・都市計画税は、賦課税であり、納税通知書の通り、通常、支払い

    ますが、固定資産税が高いと思われたら、4月1日から第1期の納期限期日(29

    年は、5月1日でした)までの期間、市町村に行くと、固定資産税課税台帳の

    縦覧ができ、他人の土地や家屋の固定資産税評価額の比較検討ができますので、

    縦覧をお勧めいたします。

 

 

                                        以上

 

 

 10月の税務トッピクスは、

       旧くて、新しい 「中小企業投資促進税制」です。  

 

 1.概要

     中小企業者などが、平成10年6月1日から平成31年3月31日までの期間

   (指定期間)内に、新品の機械及び装置などを取得し、製作し国内にある製造業、

    建設業などの指定事業の用に供した場合に、その指定事業の用に供した日を含む

    事業年度の置いて、取得価額の30%の特別償却又は、7%の税額控除を認める

    制度です。

  2.背景

      人口減少・少子高齢化の進展に伴う労働力の減少や国際競争の激化等、

     中小企業者等を取り巻く事業環境は厳しい状況にある。そのため、中小企業者

     等の生産性向上を支援し、稼ぐ力の強化を図るため、中小企業者等が設備投資

     を行った場合の優遇措置を2年間延長(平成29年度税制改正)するものであ

     る。

 3.適用要件

    ① 対象者…青色申告書を提出する中小企業者等(資本金額1億円以下の法人

      農業協同組等)、及び従業員数1000人以下の個人事業主。

    ② 指定事業・・・娯楽事業(不動産業、物品賃貸業、電気業、映画事業除く)

       及び性風俗関連特殊営業は、該当事業外。

    ③ 対象設備

      a.機械装置・・・取得価額が160万円以上

      b.測定工具・検査工具・・・取得価額が120万円以上

平成29年度税制改正により、器具備品は上記以外は、対象外となった。

      c.ソフトウェア・・・取得価額が70万円以上

      d.普通貨物自動車・・・車両総重量3.5トン以上 

  4.留意事項

     ① 資本金3000万円超の中小企業は、30%の特別償却のみが、対象となり、

       税額控除の対象とは、ならない。

     ② 特別償却の償却不足額は、翌事業年度に繰り越すことが出来る。

     ③ 税額控除は、その事業年度の法人税額又は所得税額の20%までが上限

      なお、平成29年度税制改正により、中小企業経営強化税制(平成29年4月

      の今月の税務トッピクス参照)と商業・サービス業・農林水産業活性化税制

     (2年間延長)と合わせて、20%が上限になっています。

  5.所長の一言

     設備投資を行った場合、平成29年度税制改正の目玉である「中小企業経営強

    化税制」適用に、目が向きますが、例え、「中小企業経営強化税制」が、適用で

    きない場合にも、経営力向上計画の認定の必要がない「中小企業投資促進税制」

    の適用も考えられますので、設備投資を行う場合は、事前に、ご相談下さい。

 

                                        以上

 

 

 09月の税務トッピクスは、

「非上場株式の税務上の時価」です。  

 

 1.概要

     税務上、時価は客観的交換価値と解釈され、客観的交換価値とは、不特定多数

    の当事者の間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格で

    あり、市場価格純粋な第三者間における公正な取引価格と考えられています。

     非上場株式の場合、客観的交換価値を把握することが、困難ということで、

相続税、所得税、法人税の基本通達で、時価の算定方法が定められている

     従って、取引者である、個人、法人、また、取引相手によって、考慮すべき

    時価が、異なってくることになる。

  2.背景

      一般的には、非上場株式を自由に取引するような市場は存在せず、また、

     親族間での取引のような特別の利害関係をもった者同士の取引が多く、客観的

     交換価値を把握することが、非常に困難であると考えられている。

 3.各税法による時価の要約

    ①相続税法上の時価・・・同族株主等に該当する場合は、原則的評価方法

                   類似業種比準方式と純資産価額方式により算出された株価を大会社、中会

      社(中会社も更に大、中、小に区分)、小会社に応じた比率により株価を

      決定}、それ以外の株主等の場合は、特例的評価方法(配当還元式で株価

      を算出)

              

    ② 所得税法上の時価・・・一定条件に従うならば、相続税法上の時価の算定

       方法に準じて算定可能。

       なお、一定条件とは、以下の通りである。

      a.同族株主に該当するかどうかは、譲渡直前時。

      b.中心的な同族株主に該当する場合は、「小会社」評価。

      c.土地や上場有価証券は、時価評価。

      d.純資産価額方式の際、評価差額に対する法人税相当額は、非控除。

    ③ 法人税法上の時価・・・一定条件に従うならば、相続税法上の時価の算定

       方法に準じて算定可能。

       なお、一定条件は、所得税の「a」の条件を除けば、所得税と同様です。

  4.取引者による時価

     ① (売手)個人…相続税 :(買手)個人…相続税

     ② (売手)個人…所得税 :(買手)法人…法人税

     ③ (売手)法人…法人税 :(買手)個人…所得税

             ④ (売手)法人…法人税 :(買手)法人…法人税

      

  5.所長の一言

同族株主等であるか、どうかの判定、そして、各税法の時価の算定と選定と、

    非上場株式の価格決定には、専門的な知識が必要になりますので、安易に、額面

    金額で、譲渡取引を行うことには、リスクがありますので、非上場株式の譲渡に

    は、事前に、税務顧問の方に、相談すべきです。

                                        以上

 

 08月の税務トッピクスは、

       法人税の「役員報酬の事前確定届出給与」です。  

 

 1.概要

     役員給与のうち損金に算入されるものは、(1)定期同額給与(支給形態から

    事前の定めに基づいて支給される給与)、(2)事前確定届出給与、(3)業績

    連動給与(有価証券報告書等への開示により支給額算定方法が事前に確認できる

    給与)のいずれかに該当するものに限られます。

     このうち、事前確定届出給与は、事前に納税地の所轄税務署長に対して、個人

    別に支給時期と支給金額を記載した「事前確定届出給与に関する届出書」を提出

    し、その届出通りに支給した場合には、その支給した役員給与が損金に算入され

    る制度です。

     この制度は、役員に対して、従業員と同じ時期に賞与を支給したい場合など

    に、利用することができます。

  2.背景

        平成18年度税制改正により、従前、役員給与については、その支給形態が

     定期のものか、臨時的なものかという基準によって、役員報酬と役員賞与に区

     分され、役員報酬の適正額については、損金算入を認められる一方で、役員報

     酬のうち不相当に高額部分及び役員賞与については、損金不算入とされていま

     したが、職務執行前にあらかじめ支給時期・支給額が定められていた役員給与

     については、損金算入されることとなった。そして、この場合の役員給与に

は、賞与も含められることとなった。

      なお、平成29年度の税制改正により、「事前確定届出給与」に関する改定

     も、支給対象の拡充、事前届出の要否の整理について、行われましたが、中小

     企業等には、大した影響はありません。

 3.適用に当たっての要件

    ①「事前確定届出給与」に関する届出を所轄税務署長へ、所定の期日までに、

      提出すること。

    ② 役員給与の届出額と支給額が、同額であること。

    ③ 「事前確定届出給与」に関する変更があれば、所定の期期までに、提出す

      ること。

  4.留意事項

     ① 「事前確定届出給与」の届出は、①株主総会の決議から1カ月以内、②決算

       日から4カ月以内のいづれか、早い日です。

     ② 税務署長への届出額と支給額が不一致の場合は、役員給与の全額が損金不

      算入となります。

              ③ 期の途中に、臨時改定理由(がある場合は、「事前確定届出給与に関する

       変更届出書」を提出しますが、特に、業績悪化の場合は、通常の赤字のみ

       では、認められないケースがありますので、注意が必要です。

        なお、臨時改定理由がある場合の変更届出書は、1カ月以内の提出で

       す。

      

  5.所長の一言

役員賞与が、必ずしも、損金不算入となる訳ではありませんので、事前の税務

    署長への届出、届出金額と支給額が同額という要件がありますが、検討の余地が

    あると思いますので、一度、ご相談頂ければと思います。

                                        以上

 

 07月の税務トッピクスは、平成29年度税制改正の目玉とも言われています

         所得税の「配偶者控除の改正」です。  

 

 1.概要

     「配偶者控除の改正」の内容は、

    (1)「配偶者特別控除が適用可能となる配偶者の所得を増加させる」改正

平成29年度改正前は、配偶者の給与収入が103万円以下(所得金額が

       38万以下)であれば、配偶者控除により、38万円の所得控除を受ける

       ことが可能でしたが、平成30年度より、配偶者の給与収入が150万円

       以下(所得金額85万円以下)であれば、これまでと同様に38万円の控除

       を受けることが可能となった。

        また、配偶者特別控除を受けることができたのは、所得金額が76万円

        未満でしたが、平成30年度より、123万円以下まで可能となった。

(2)「配偶者控除の利用に、所得制限を設ける」改正

納税者に所得制限が設けられ、給与収入1120万円(所得900万円)、

       給与収入1170万円(所得950万円)、給与収入1220万円(所得1000万

       円)の3段階、に分けて控除額が設定されている。

  2.背景

       生産年齢人口が減少を続け人手不足と感じている企業が多い中、給与収入を

     一定の範囲内に抑える傾向は、最低賃金が引き上げられていくにつれ、更に

     強まる中、「103万円の壁」が心理的な壁として作用していることを鑑み、

     女性を含め、働きたい人が就業調整を意識せずに働くことができる環境づく

     りに寄与する観点からの改正である。

 3.適用に当たっての要件

    ①納税者の合計所得金額が1000万円(給与収入1220万円)を超える場合、

      配偶者控除の適用は、できません 

    ② 所得税は、平成30年度(平成30年1月1日より)、住民税は平成31年度

      より適用。

  4.留意事項

     ① 配偶者の収入が103万円を超すと所得税が、課税されます。

     ② 所得税と住民税の控除額(例えば、基礎控除額:所得税38万円、

       住民税33万円)が違いますので、所得税で、非課税でも住民税では課税

       となります。従って、配偶者の収入が100万円を超すと、所得税は、

       課税されます。

              ③ 社会保険料の対象は、配偶者の収入が130万円(大企業の場合106万円)

       超です。

      ④ 会社から、納税者に支給される「配偶者手当」の金額が、150万円まで

      に、規定が変更されるか、確認が必要です。

      

  5.所長の一言

 所得税、住民税、社会保険料、納税者の会社からの「配偶者手当」を考えると

    103万円の壁が、150万円の壁になったという、簡単なものでは、ありませんの

    で、配偶者が、給与収入を上げる場合には、十分に、比較検討をする必要があり

    まね。

      なお、今回の所得税の改正は、当初、「夫婦控除」の導入議論があり、抜本的な

     改正を期待していましたので、残念な改正に終わったというのが、私の実感です。

                                        以上

 

 06月の税務トッピクスは、北九州市にある法人での税務調査で、否認された

「マイカ-通勤者等の通勤手当」です。  

 

 1.概要

     「マイカー通勤者等の通勤手当」は、一定の限度額まで、非課税となって

    おり、マイカーなどで通勤している人の非課税となる1カ月当たりの限度額は、

    片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さ)に応じて決められており、超える部分

 の金額が、給与として課税されることになっています。

     非課税限度額を超える部分の金額は、その月の給与額の上乗せして、所得税や

    復興特別所得税の源泉を行う必要があります。

 2.背景

     今回の税務調査で、通勤手当の非課税限度額が、否認されたのは、自宅と会

    社の片道の距離が、税務署が、グーグルマップで調べた距離が、会社が計算

    した距離が違うと違うということでした。

      結果的には通勤手当の非課税限度超過額に対して、給与課税するということ

    で、源泉徴収もれ、消費税の過少申告、法人税・地方税の還付になりました。

 

 3.通勤手当の直近の改正内容

     マイカー通勤者等の通勤手当は平成26年8月の人事院勧告を踏まえ、国家公務

    員の通勤手当が引き上げられた結果、マイカー通勤者等の非課税限度額が、国家

    公務員の通勤手当に準拠しているため、平成26年4月1日に遡及して、引き上げ

    られています。

     なお、平成28年度の税制改正(平成28年1月1日施行)により、交通機関又は

 有料道路を利用している人に支給する、給与所得者に支給する、通勤手当の非課

    税限度額の最高限度額が、10万円から15万円に引き上げられています。

 4.適用に当たっての要件

    ① 片道の距離が2キロメートル未満であれば、全額課税。

    ② 片道の距離が2キロメートル以上、55キロメートル未満の場合、6段階で、

      4,200円から28,000円までの非課税限度額が定められています。

    ③ 片道55キロメートル以上は、1カ月当たり、31,600円まで、非課税。

  5.留意事項

     ① 通勤手当の支給の有無は、就業規則や雇用契約書で、決めるものです。

              ② 非課税限度額のルートは、最も経済的かつ合理的な経路及び方法という

       ことですので、一番安く、一番早く到達できるルートということになり

       ます。

      ③ 通勤手当の支給方法として、定期券や回数券、ガソリンのプリペイドカー

      ドとして、現物支給することも就業規則や雇用契約書に記載すれば、可能

      です。

      ④ 1カ月ごとの支給ではなく、6カ月ごとの支給も就業規則や雇用契約書に

      記載すれば、可能です。

  6.所長の一言

     監査もそうですが、批判ばかりでは、相手に対し、反感・不信感を持たせる

    ばかりですので、私は、指導的機能が必要と考えています。

     しかしながら、間違いは、間違いですので、マイカー通勤者等の自宅と会社間

の距離の再確認就業規則や雇用契約書の内容の再確認をお願いいたします。

                                        以上

 

    05月の税務トッピクスは、平成29年度税制改正で、見直しされた

「所得拡大促進税制」です。  

 

 1.概要

      「所得拡大促進税制」は、賃上げを行った企業へのインセンティブ機能

    強化する観点から、平成25年度税制改正で創設され、当初3年間の時限措置で

    したが、平成26年度、27年度税制改正で要件緩和と2年間の期限延長がなさ

    れ、平成30年3月31日までに開始する事業年度の青色申告法人が、国内雇用者

    に対して支給する給与等を増加させたなど一定の要件を満たす場合には、その

雇用者給与等支給増加額に対して、10%の税額控除(法人税の税額控除10%

    限度ですが、中小企業者等は20%までが限度)が認められる制度です。

     なお、平成29年度税制改正により、適用要件3の③の平均給与等支給額が

前年度比2%以上増加した場合には、中小企業等事業者には、前年度増加額に

    ついて、税額控除を12%上乗せできることになりました。

 2.背景

     「所得拡大促進税制」は、企業収益の拡大が雇用の増加や賃金上昇につながり、

    それが消費や投資の増加に結びつくという経済の好循環を強化する必要があり、

    このため、なる賃上げインセンティブを与企業の更える機能を強化する観点

    から、創設され、高い賃上げを行う企業への支援を強化するためのものである。

 

3.適用に当たっての要件

    ① 雇用者給与等支給増加額が、基準雇用者給与等支給額(平成24年度雇用者給与

      等支給)に対する割合が増加促進割合(中小企業者等)が、3%以上になって

      いること。

    ② 雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額(前事業年度)以上であること。

    ③ 平均給与等支給額(雇用者1人当たり)が、比較平均給与等支給額(前事業年度)

      を超えること。

 

  4留意事項

     ① 「所得拡大促進税制」は、税額控除であり、青色申告法人で、法人税の納付企業

       対象になります。すなわち、黒字企業が対象です。

              ② 「所得拡大促進税制」の適用に当たっての事前申請は必要はありません

      ③ 現時点では、平成30年3月31日までの間に、開始する事業年度が対象です。

      ④ 基本的には、継続雇用者が、対象になりますが、65歳以上の方、そして、

      役員の親族の方は対象になりません。

     ⑤ 「雇用促進税制」(中小企業者の場合、2名以上かつ10%以上雇用者数の

      増加した場合)との併用は、調整計算が必要ですが、平成28年4月1日から、

      可能です。

 

  5.所長の一言

      「所得拡大促進税制」の適用は、税額控除の適用ですので、法人税の節税

      メリットは、大きいと思いますが、基準年度の以降の給与等支給額の確認等

      時間が、かかるケースもありますので、早めのご相談お願いいたします。

                                        以上

 

    04月の税務トッピクスは、平成29年度税制改正で創設された

「中小企業経営強化税制」です。  

 

 1.概要

      「中小企業経営強化税制」(平成29年4月1日~平成31年3月31日)は、

 国から経営力向上計画」の認定を受けた中小企業等事業者にし、従来から

    ある、

    「中小企業投資促進税制(平成31年3月31日まで)」の対象を機械装置だけではな

    く、器具備品や 建物附属設備を広く対象に加えることで、サービス業も含めて広く

    中小企業等事業者の生産 性の向上に資する措置へと改組したものである。    

 2.背景

     人口減少・少子高齢化の進展に伴う労働力人口の減少や国際競争の激化等、中小企

    業等事業者を取り巻く事業は環境は厳しい状況にある。そのため、中小企業等事業者

    の稼ぐ力を向上させる取組を支援するため、中小企業等経営強化法の認定を受けた

   「経営力向上計に基づく設備投資を、即時償却または、税額控除を選択適用する

    ことが、できるようにしたものである。

 

3.中小企業等経営強化法の「経営力向上計画」の認定について

    ① 中小企業等は、主務大臣が作成した、事業分野別指針の策定に基づき、「経営力

     向上計画」を策定し、国から、認定を受ける。

事業分野は、14分野であり、製造業、卸・小売業、旅館業、医療分野、介護分

      野、貨物自動車運送事業分野、自動車整備業分野、建設業などである。

    ② 「経営力向上計画」とは人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や

      設備投資など、自社の経営力を向上させるために実施する計画である。

    ③ 認定を受けた中小企業等事業者は、固定資産税の課税標準を3年間、特例措置に

      より、1/2に軽減される。

 

  4留意事項

     ① 手続きの基本的な流れは、工業会証明書(若しくは経産局の確認書)を取得後、

国より「経営力向上計画」の認定を受けた後に、対象設備を取得するのが、原則。

       但し、対象設備取得後、60日以内に「経営力向上計画」が受理されれば、認められ

       ます。

      ② 対象設備は、生産性向上設備(A類型・工業会証明)と収益力強化設備(B類

      型・経産局確認)の2種類あり、要件に違いありますので留意。

     ③ 税制措置は、即時償却または、7%税額控除(資本金3千万円以下もしくは

       個人事業主は10%

     ④ 取得金額基準

       機械装置(160万円以上)、工具(30万円以上)、器具備品(30万円以上)、

       建物附属設備(60万円以上)、ソフトウェア(70万円以上)

      ⑤ 「経営力向上計画」の認定が必要ない、中小企業投資促進税制(平成31年3

       月31日まで)」の適用(税額控除7%または特別償却30%)は、ありますの

       で、ご留意下さい。  

  5.所長の一言

      国の「経営力向上計画」の認定が、今回創設された「中小企業経営強化税制」の

     条件ですので、一見すると、ハードルが高いようですが、実際には、国も支援する

     姿勢ですので、対象設備の購入予定があれば、早めに、ご相談下さい。

                                        以上

 

  03月の税務トッピクスは、「企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)」です。

   正式には、「認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人税額の

   特別控除」です。

 

 1.概要

      平成28年4月20日から平成32年3月31日までの間に、地域再生法の認定地方公共

    団体が行った「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」に関連する寄附金(特定寄附

    金)を支出した場合に寄附額の3割に相当する額の税額控除の特例措置がなされ、

    現行の地方公共団体に対する法人の寄附に係る損金算入措置による軽減効果(法人実

    効税率の約3割)と合わせて、寄付額の6割に相当する額が軽減される制度である。

    軽減内容は、法人住民税、法人税及び法人事業税で、税額控除を認めるものである。

 2.背景

     企業版ふるさと納税は、地方創生事業に対する民間資金の新たな流れを起こし

    地方創生の取組の実効性を高めるため、企業の地方創生への理解に基づいた

    寄附による積極的な貢献を目的として創設。

 

3.留意事項

    ① 「まち・ひと・しごと創生事業寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として

      経済的な利益を受け取ることは禁止。

    ② 自社の本社が所在する地方公共団体への寄附については、本税制の対象とは

      ならない。

    ③ 地方交付税の不交付団体である都道府県、地方交付税の不交付団体であって

      その全域が地方拠点強化税制の支援対象外地域とされている市町村への寄附

      については、本税の対象とは、ならない。(東京都、23特別区、立川市、

      三鷹市、鎌倉市、戸田市、浦安市、苅田町、玄海町など)

    ④ 1回当たり10万円以上の寄附金が対象。

    ⑤ 寄附の払い込みについては、地方公共団体が「まち・ひと・しごと創生寄附活用

      事業」を実施し、事業費が確定した後に、行うこと。

 

  4.税目ごとの特例措置の内容

     ① 法人住民税

       寄附額の2割を税額控除

       (法人住民税法人税割額の20%が上限)

      ② 法人税

       法人住民税の控除額が寄附額の2割に達しない場合、寄附額の2割に相当する額

       から、法人住民税の控除額を差し引いた額を控除

        (寄附額の1割、法人税額の5%が上限)

     ③ 法人事業税

        寄附額の1割を税額控除

         (法人事業税額の20%が上限)

  5.所長の一言

      志をもった企業が、地方自治体が行う地方創生の事業を支援するための寄附金

     制度であり、寄附金控除も6割と従前の2倍ですので、節税効果もあり、創業地

     あるいは、出生地、支店等の所在地等の自治体への寄附であれば、地域への社会

     貢献としての効果も期待できますので、手元資金に余裕があれば、検討に値すると

     考えます。

                                        以上

 

 02月の税務トッピクスは、「被相続人の空き家を相続人が、売ったときの特例」です。

 

 1.概要

     相続(又は遺贈)により取得した被相続人の居住用家屋(又は敷地等)を、

平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に売って、一定の要件に

    当てはまるときは、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除することができる。

    これを被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例という。

 2.背景

空き家の譲渡時の税金面での優遇措置を設けることで、空き家を譲渡しやす

    くし、空き家の発生を抑止するという目的がありますが、一定の条件を満たす

     空き家に限定されている点が特徴的である。

3.相続した家屋の要件

    ① 相続開始直前において、被相続人の居住用であったこと。 

    ② 相続開始直前において、被相続人以外に居住をしていた者が、いなかったこと。

    ③ 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること。

    ④ 相続時から譲渡の時期まで事業用、貸付用、居住用に供されていなかったこと。

 

  4.相続した家屋を取り壊して土地のみ譲渡する場合の取り壊した家屋の要件

     ① 相続時から譲渡の時期まで事業用、貸付用、居住用に供されていなかったこと。

      ② 土地について、相続時から譲渡の時期まで事業用、貸付用、居住用に供されて

       いなかったこと。

  5.売却する際の要件

     ① 譲渡価額が1億円以下であること。

     ② 家屋を譲渡する場合その譲渡時において現行の耐震基準に適合するものであること。

 

  6.「空き家」の譲渡所得の特例の留意点

    ① 特例を受けるためには、「被相続人居住用家屋等確認書」を、売った資産の

      所在地を管轄する市町村から入手する必要がある。なお、交付には、1週間

      から、10日程度かかるそうです。

    ② 家屋が、現行の耐震基準に適合しなければ、耐震リフォームが必要です。

    ③ 「相続財産譲渡時の取得費加算の特例」とは、どちらかの選択適用になる。

  7.所長の一言

      個人住宅の空き家になった理由の50%超が、相続による取得のためと

     いわれている現状では、「空き家の譲渡所得の特例」を受けるための売却が、

     進むと考えれますが、耐震リフォームの金額と譲渡所得税の比較が必要に

     なりますので、事前の相談をお願いいたします。

                                        以上

 

  01月の税務トッピクスは、「ふるさと納税」です。

 

 1.概要

      ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、

    寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が

    控除される制度です(一定の上限はあります。)。

 

 2.背景

     平成20年の税制改正で、「都市部から地方に税を還元できる」仕組みとして、

    実現したのが、「ふるさと納税」です。

     ふるさと納税は、希望する人が自発的に、自分で選んだ自治体に「支援したい・

    応援したい」という思いから、寄付を送るという「社会的な意義」がある面と、

    一方で、特典・特産物がもらえる「見返りのある」寄付金となっています。

3.仕組み 

    ① ふるさと納税(寄付金)を行う。  

    ② 納税先の自治体から受領書が届く。

    ③ 寄付金控除の確定申告書を作成し、自治体からの受領書を添付して、税務署に

      提出する。

    ④ ふるさと納税をした年の所得税翌年度の住民税が還付される。

 

  4.ふるさと納税制度についての留意点

    ① ふるさと納税は、寄付金控除という「所得控除」の一部です。

    ② 2015年4月より、住民税の控除額が2倍に拡大し、一定要件(年収2000万円

      以下の給与所得者、もともと確定申告が不要な方、寄付の自治体が5カ所以内)

      を満たせば、「ワンストップ申請書」の送付で、確定申告が不要なりました。

       ちなみに、ワンストップ特例申請書の提出期限は、1月10日ですので、

       終了しています。

    ③ ふるさと納税は、寄付金額は2000円以上からで、税金を減らせる金額には、

      限度があります。

    ④ ふるさと納税は、「納税者のふるさと」にすることは、ありません。

    ⑤ クレジットカード決済の場合、利用日が、寄付した日とする自治体が多い

      ですが、自治体への入金日を、寄付した日とする自治体もあるので、注意が

      必要です。

  5.ふるさと納税の上限額の試算 (総務省)

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/mechanism/deduction.html

 

  6.所長の一言

    12月の駆け込みの「ふるさと納税」が多かったみたいですが、国民の納税意識の

    向上の顕れであればと思います。従って、人気の自治体の返礼品が、寄付金額

    の5割は、問題なのかもしれませんね。なお、確定申告書には、マイナンバーの

    記載を忘れないように、お願いいたします。。

                                        以上

 

  12月の税務トッピクスは、「役員退職慰労金」です。

 

 1.概要

       「役員退職慰労金制度」は、上場会社においては、3割程度と少なくなって

     きていますが、中小会社においては、7割程度存在しています。

     中小企業の経営者にとっては、役員退職慰労金は、退職後の資金確保、一方で、

     株式の評価の低減に役立ち、事業承継、相続税の有効な節税対策の一つに、

     なりますので、今回、取り上げました。

 

 2.背景

     (役員)退職金は、功労の対価の後払い、退職後の生活資金との面からも、税金面

     で優遇されていますが、中小企業経営者は、一般的に、取締役の在位期間が長く

     退職所得控除が大きいため、税金面では、さらに有利に働いています。

      一方で、役員退職慰労金の支給は、会社の純資産の減少、類似業種の利益比較の

     引き下げに繋がり、非上場会社の株価を大きく引き下げる要因になります。 

  3.役員退職金慰労金制度についての留意点

    ① 役員退職慰労金の支給規程の制定、特に、退職慰労金の算定方法、支給時期、

      支払方法を決める必要があります。

    ② 役員退職慰労金の希望額と退職慰労金の規程との擦り合わせを事前に行う。

    ③ 役員退職慰労金の原資を生命保険、預金等によって確保すること。

    ④ 役員退職慰労金の支給については、株主総会で、取締役会に一任する決議を

      行うこと。

    ⑤ 役員退職慰労金は、未払金計上は、可能だが、分割払いは、最長3年間と

      考えるべきである。

    ⑥ 分掌変更(非常勤へ、報酬の50%以上の減額等)による役員退職慰労金の支給

      には、税務上のリスクが、伴いますので、事前協議が必要です。

 

  4.役員退職慰労金の算定方法

    ① 最終役員報酬*役員在位期間*功績倍率

    ② 功績倍率は、社長、会長が、2.5倍程度、取締役が2倍程度と考えられます。

  5.役員退職慰労金の所得税の計算

    ① (退職慰労金ー退職所得控除額)*1/2=課税所得金額

      役員在位期間が5年以下の場合は、1/2の控除の適用は、ありません。

    ② (課税所得金額*所得税率ー控除額)*復興特別所得税=所得税額

    ③  退職所得控除額は、40万円*勤続年数で、20年を超えると800万円+

       70万円*(勤続年数ー20年)

    ④  所得税率は、累進課税で、7段階あり、課税所得金額が、900万円超~1800万

       円以下(33%、控除額1,536千円)、1800万円超~4000万円以下(40%、

       2,796千円)4000万円超(45%、4,796千円)

 

  6.所長の一言

     事業承継、相続税対策の基本である「役員退職慰労金制度」をうまく活用するため

    にも、50代以上の経営者、特に、団塊の世代の経営者の皆様には、すぐにでも、役員

    退職慰労金規定の整備、原資の確保を行う必要がありますので、ご相談ください

                                        以上

 11月の税務トッピクスは、

 「法人税における”特別償却”と”特別(税額)控除”」です。

 

 1.概要

    法人が特定の機械や設備等の資産を取得して事業の用に供した場合、通常の減価 

    償却のほかに認められる「特別償却」の制度や、一定の金額を法人税額から控除

    する「税額控除」の制度の適用を受けることができます。

 

 2.背景

     特別償却は、特定の機械や設備等の資産を取得し、事業の用に供したときに、

    「取得価額等*一定割合」の金額を限度に一時償却できる制度です。

     税額控除は、特定の機械や設備等の資産を取得し、事業の用に供したときや、

     特定の費用を支出したときなどに、「取得価額や支出した費用の額等*一定割合」

     の金額を限度として、特別に法人税額からの控除ができる制度です。

  3.特別償却・税額控除についての留意点

    ① 重複適用ができません。

    ② 算出された税額控除限度額が、法人税額の一定割合を超えるときは、控除できる

      金額は、一定割合の金額です。

    ③ 特別償却の償却不足額は、1年間に限り繰り越すことができます。

    ④ 税額控除は、対象資産の取得年度及び翌年度が欠損となるときには受けられ

      ません。

    ⑤ 特別償却を選択して欠損金となった場合は、欠損金の繰越控除の適用が、

      受けられます。

 

  4.特別償却・税額控除の選択

    ① 特別償却には、「課税の繰り延べ」の効果。

    ② 税額控除には、「税額の免除」の効果。

    ③ 償却を早期に行いたい場合は、特別償却の選択。

    ④ 長期の税額を減少させた場合は、税額控除の選択。

 

  5.所長の一言

     減価償却資産の優遇税制を受ける場合、まず、特別償却の制度を考えますが、

    長期的には、有利な税額控除制度の適用も検討する必要があると思います。

                                        以上

 10 月の税務トッピクスは、

 「相続時精算課税制度」です。

 1.概要

    原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の推定相続人である子又は

孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。

 

 2.背景

     平成15年01月に、消費を拡大するため、親から消費をする子の世代への贈与を

    スムーズにするようにという目的で創設された制度です。

     平成27年01月に、この制度の適用範囲が拡大され、60歳以上、孫までの贈与が、

    可能となりました。

  3.相続時精算課税制度のメリット

    ① 一度に多額(2500万円まで)の贈与が無税でできる。

       (2500万円超は一律20%の贈与税)

    ② 財産移転がスムーズにできる。(特に、相続時、相続税が発生しない場合)

    ③ 収益物件の贈与であれば、相続税対策につながる。

    ④ 値上がりする見込みの財産を贈与すれば、相続税対策につながる。

    ⑤ 分けにくい財産でも生前に移転ができる。(相続争いを防げる)

 

  4.相続時精算課税制度のデメリット

    ① その贈与者からの贈与は、暦年課税(毎年110万円)に戻れない。

    ② 一定の直系親族間の贈与に限られ、かつ、年齢制限ある。

    ③ 金額にかかわらず、贈与税の申告が必要。

    ④ 贈与財産は相続時に「小規模宅地等の特例(80%の評価減)」が受けられない。

    ⑤ 贈与財産は相続時に物納できない。

    ⑥ 不動産の贈与の場合、移転コスト(登録免許税2%、不動産取得税)が高い。

    ⑦ 孫が受贈者であれば相続税は2割加算の対象となる。

    ⑧ 相続税の改正があった場合に、不利になる可能性もある。

    ⑨ 「住宅取得等資金の非課税制度」との併用もできる。

  5.施行時期

平成27年1月1日以降の相続・贈与より、適用。

 

  (参考)

     「相続時精算課税制度」と同じような、「相続時精算課税選択の特例」という制度

     もありますが、贈与する者が、父母、祖父母で、年齢制限がありませんが、

     贈与する財産が、住宅を取得するため、もしくはリフォームするための資金に

     限られます。

 

  6.所長の一言

     相続時精算課税制度は、相続時に精算をすることが前提であり、厳密にいうと

    相続税対策とは、言えませんが、争続対策には有効だと思いますので、

    相続(争続)について、心配されている方は、早めに、ご相談下さい。

                                        以上

 9 月の税務トッピクスは、

 「非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予(免除)の特例」です。

 1.概要

後継者である相続人等が相続等により、経済産業大臣の認可を受ける非上場会社の株式

   等を先代経営者(被相続人)から取得し、その会社を経営していく場合には、その後継

   者が納付すべき相続税のうち、その株式等(3分の2まで)に係る課税価格の80%に

   対する相続税の納税が猶予され、後継者の死亡等により、納税が猶予されている

   相続税の納付が免除される制度です。

 

 2.背景

    平成20年10月より、制度としてありましたが、経済産業大臣の認定が、事前確認制度

    であったり、適用要件及び、納税猶予期限の確定事由が、適用に当たっては、ハード

    ルが高いということで、平成25年度の税制改正により、緩和されました。

  3.主な改正事項

    ① 経済産業大臣の事前確認が廃止。

    ② 後継者の要件のうち、被相続人等の「親族」である要件を廃止。

    ③ 株券を発行することなく、株式の担保提供が可能になった。

    ④ 常時使用従業員数(雇用の8割以上の確保)の経営承継期間の納税猶予期限の

      確定事由が、「毎年」が、「平均」となった。

 

  4.ポイント

    ① 相続税申告期日(10カ月以内)までに、経済産業大臣の認定を受けること。

    ② 相続開始時点において、後継者及び特別関係者と併せて、総議決権株式の50%超

      を有し、その中で最も多くの議決権数保有していること。

    ③ 先代経営者は、会社の代表権を有していたこと、相続開始時点において、被相続

      人と特別関係者と併せて、総議決権株式の50%超有し、その中で、後継者を除

      いた中で、最も多くの議決権数を保有していること。

    ④ 納税が猶予される相続税額及び利子税の額に見合う担保を税務署に提出。

    ⑤ 事業の継続要件は、5年間である。

    ⑥ 資産保有型会社及び資産運用型会社には、原則、適用されない。

  5.施行時期

平成27年1月1日以降の相続・贈与より、適用。

 

  6.所長の一言

    中小企業の非上場株式の相続税・贈与税対策の有効な対策の一つと考えられますの

    で、後継者への事業承継を考えている方は、早めに、ご相談下さい。

                                        以上

 8月の税務トッピクスは、

 「中小企業者の新規取得の機械装置の固定資産税の減税」です。

 1.概要

   「中小企業等経営強化法」が今年の7月1日に施行され、人材育成、コストマネジメン

   の向上や、設備投資等、事業者の経営力の向上させるための取組内容などを記載した

   事業計画(経営力向上計画)の認定を受けた中小事業者は、機械及び装置の固定資産

   の軽減(資本金1億円以下、3年間半減)や金融支援等(低利融資、債務保証等)を受け

   ることができることになりました。

 

 2.背景

    経済社会情勢の変化に対応し、中小企業の経営力向上を図るための施策で、所管大臣

   が、製造、卸売・小売、外食・中食、宿泊、医療、介護、保育、貨物自動車運送業

   船舶、自動車整備等の事業分野ごとに、指針を策定するとともに、当該取り組みを支援

   するため。

 

  3.対象

    ① 新規の機械装置(新品)

    ② 生産性を高める機械装置が対象

      ・160万円以上

      ・生産性1%向上(10年以内に販売開始)

 

  4.ポイント

    ① 経営向上計画書の所管大臣よりの認定

      …機械装置等の取得後から、60日以内に計画書が受理される必要

      …計画書の申請受理から認定まで、最大30日間要する。

    ② 機械メーカーからの経営向上設備等の証明書が必要

    ③ 固定資産税(税率1.4%)の課税標準を3年間、1/2に軽減

      …平成28年12月末まで、計画書の認定を受けた場合は、3年間。

    ④ 平成28年7月1日以降取得した機械装置等であること

  5.実施時期及び期間

     平成28年7月1日施行、平成28年度~平成30年度の3年の間に取得した

     機械装置等の3年間の固定資産税の軽減。

 

  6.所長の一言

 経営向上力計画書は、何と、わずか、実質2Pですので、7月1日以降、

    機械装置等の取得の予定がある企業は、担当者に、ご相談下さい。

 

                                      以上

 

 

 

 

 

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